東洋医学では胃の不調の原因には2つあると考えます。胃寒と胃熱です。胃寒とは、冷たいものや甘いものを食べ過ぎて胃が冷えている状態です。一方、胃熱とは油っこいものの食べ過ぎや、夜遅く食事をしたりして胃に負担がかかっている状態です。
<胃寒>
胃は「食べ物から精を作り出すところ」と東洋医学では考えます。元気を作る源です。ここが冷えてしまうと「精」がなくなり、元気がない状態になってしまいます。
特に夏に体を冷やす陰性の食べ物(白砂糖、甘いジュース、バナナなどの熱帯産の果物)を多くとりすぎると、みぞおちあたりの膨満感、消化不良による便秘や下痢、腹痛、むくみなどの症状として秋に出てきやすくなります。
<胃熱>油っこいものが多かったり、夜食が続くと胃に炎症を起こします。胸やけや口の端がただれたり、口内炎が出来た時には注意が必要です。
では、症状が出る前に胃の不調を知るにはどうしたらいいのでしょう?東洋医学にはとても便利な診断法があります。
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唇は物語る
望診(ぼうしん)とは中国医学の診断法の一つで、身体や顔を観察することで健康状態を診断し、病気を予防・治療していきます。目や鼻、唇、爪といった部分から体全体の調子をみていく技術です。頭痛、肩こり、便秘といった症状があるのに病気とされない「未病」も望診によって診断し、早期治療をしていきます。
胃の弱りは2か所に現れます。鼻筋の真ん中から下あたりと上唇です。鼻筋の中心が白っぽくなると胃が弱ってきています。上唇の外側は胃の上下、食道にあたります。上唇の内側は胃の中心部分の状態を表します。唇の色、状態を観察してみましょう。
上唇が渇くとき、胃に熱があることを示します。ほくろができたら、たんぱく質や炭水化物、脂肪が多すぎる知らせです。肝臓や膵臓へ負担もかかっています。甘いもののとりすぎは水泡として現れます。ちなみに大腸の不調は下唇外側に現れます。
マクロビオティックで胃を守る
<小食>
胃腸が弱ると食が進みませんね。「休憩したい」というサインです。体は素直です。体の声に従ってプチ断食や小食を心がけましょう。
<胃にやさしい食べ物>
でもお腹はすく、という方は胃に優しい食べ物を少量とってみましょう。胃に負担がかからない食べ物は穀物(玄米、そばなど)、甘みある野菜(キャベツ、かぼちゃ、玉ねぎ)、海藻類、葛です。体を冷やす陰性の果物は控えます。便秘や下痢があるとき、胃に炎症があるときは葛だけで過ごします。
発酵食品は積極的にとりたい食品です。消化吸収を助ける酵母や麹菌を含む食品は胃腸を元気づけます。味噌、醤油、漬物、納豆など日本は発酵食品の宝庫です。
飲み物は三年番茶、たんぽぽ茶、梅しょう番茶など体を温めるものにします。腹痛があるときは梅しょう番茶が効果あります。
<よく噛む>
よく噛むことはとても大切です。唾液の中に含まれる消化酵素が消化を助け、噛むことで、でてくるホルモンが自律神経を安定させ、消化器官の機能を上げます。100回噛んで食べ物が液体になるまで咀嚼しましょう。胃の負担が減り、噛むことで脳も活性化します。
<腹式呼吸>
腹式呼吸は自律神経全体に働きかけ、体と心の両方の調和を図ります。呼吸法やヨガなどで深い呼吸法をマスターすれば胃腸障害の大半は完治するといわれるほどの大きな効果を持つ健康法です。まずは、吐く練習をしましょう。体の中の空気が空っぽになるくらい吐き切ります。吐くとリラックスの神経(副交感神経)が活発になります。そして自然に吸います。これを3~5回することから始めてみましょう。だんだん回数を増やして。5カウントで吸って3カウントで吐く。このリズムでやってみましょう。体と心の反応を感じてみて下さい。
まとめ
飽食の現代は「不足」からの病気よりも「多食」から病気になるケースがほとんどです。まずは食事量を減らしてみる。胃を休ませ、体を温める。リラックスすると胃は元気を取り戻します。胃は自律神経がコントロールしています。温泉などもいいですね。