マクロビオティックの食事法が和食をベースにしていることは、今では広く知られていることです。では改めて「和食」と聞かれると、一体何と説明したら良いのでしょうか?
日本人が昔から食べているから和食、それだけでは心もとないので、ここで一度和食について考えてみましょう。
目次
世界に認められた和食
和食は2013年にユネスコ(国連教育科学文化機関)の「無形文化遺産」に登録されました。この時日本政府が申請した和食の特徴は以下の4つです。
・多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
・健康的な食生活を支える栄養バランス
・自然の美しさや季節の移ろいの表現
・年中行事との密接な関わり
これはあくまでも申請用に脚色されたもの。外国の皆さんにアピールする目的で並べられた文ですから、私たち生粋の日本人からすると逆にピンときません。
私たちが知っている和食
縄文時代晩期から最近まで、日本人の食生活は庶民レベルではそれほど変わっていないそうです。お米を主食にする暮らしは既に2000年以上続いているようで、「ご飯+汁+主菜1種+副菜2種」という、いわゆる「一汁三菜」の食事は長いこと日本人の食事の基本でした。
和食では他の国の料理のようにソースを重視せず、素材の味を素直に引き出すことを何よりも大切にします。ソースとしては極端に薄味な「だし」が進化したのも、素材の持つ味を存分に活かすための工夫の一つ。
またマクロビオティックでも重宝する発酵食品、味噌・醤油・納豆などが世代を超えて食されているのも、海外の人たちからすると特殊な食習慣に感じられるのかもしれません。
この形が大きく崩れたのは、欧米型の食生活が普及してからのことです。そして日本にはそれまで存在しなかった様々な病気が新たに広がり出したのも、それ以後のことです。
標準的なマクロビオティックの食事法
マクロビオティックでは「一汁三菜」とまでは行かないものの、日本の伝統的な食生活に近いメニューを日々いただきます。
1日の食事の50~60%は玄米やいくつかの種類の穀物で、いずれも精白せずに栄養価が高い状態で主食にします。さらに25^30%は野菜を使った副菜で、旬のものをおかずや汁・スープにしていただきます。野菜は漬け物にして食べるのも好まれます。
それ以外では豆類や海藻類を多めに摂り、魚介類はたまに少量口にする程度。豆は加工品としての豆腐や納豆でも良く使います。
肉類や乳製品、卵などはなるべく使いません。調味料には塩・味噌・醤油・酢などをバランス良く使います。やはり調味料と食材との組み合わせを考えると、和食ベースのメニューが最も美味しく健康的なことは間違いないでしょう。
だからこそ旬の新鮮な食材を
旬の食材をそのまま丸ごといただくのがマクロビオティックの食事法ですから、どの食材も新鮮で栄養が豊富なものを選ぶ必要があります。
野菜や穀物は栄養価や安全性を考えて、栽培方法からトレーサビリティがしっかりした食材を選びましょう。農薬や肥料の使用状況が分からないと、毎日の中心になる食材なので安心して食べることができません。ここで安心できない食材を選んでしまうと、日々健康に対する不安が蓄積してしまいます。
まとめ
マクロビオティックの「身土不二」と「一物全体」の考え方は、身近な旬の新鮮な食べ物を毎日の食卓に載せること。自分たちが住む地域で採れた食材を丸ごといただくことは、私たちがずっと昔から受け継いできた習慣だったはず。
改めて考えると、実はそれこそが和食だったんですね。