マクロビオティックでは肉類の摂取はできるだけ控えます。主な理由は、肉類には脂肪が多く食物繊維が少ないため、消化に時間がかかり体にたまりやすいことです。体に老廃物がたまると、肌のトラブル、生理トラブル、ひどい時には肝臓病、腎臓病、ガンや腫瘍といった病気として現れます。
その他、環境への配慮もあります。肉の処理には多くの水や電気、石油が必要であること。また1㎏の肉を育てるのには水や穀物、牧場などが大量に必要だということ。
先進国の肉食増加が地球環境の変化による干ばつ、洪水、食糧危機に直接関係あるかは明確ではありませんが、無縁でもありません。週に1回でも肉食を控えると、体と環境への負担を軽くすることができるのです。
肉なし生活、と聞くと、一見制約が多いように感じますが、上手に植物性たんぱく質を使えば、そのバラエティーは無限で、満足度の高い食事を楽しむことが出来ます。
目次
植物性たんぱく質ってなんだろう?
たんぱく質は炭水化物、脂質、無機質、ビタミンと共に5大栄養素として人間の体を構成するとても大切な成分の一つです。タンパク質は大きく分けて2種類、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質に分けられます。肉、魚、卵など動物由来のものを動物性たんぱく質。米、大豆や小麦タンパクなど植物性由来のものを植物性たんぱく質といいます。
植物性たんぱく質のメリットは、動物性に比べ脂質が少なく、水溶性ビタミンが豊富なことです。また不飽和脂肪酸が過剰になる心配がないため、体への負担が少なく、効率よくエネルギーを生産することができる点です。
食物性たんぱく質には様々な種類があります。和食、精進料理でよく使われる素材ばかりなので、なじみ深いものが多いと思います。
代表的なのは、豆とその加工品(豆腐、厚揚げ、薄上げ、湯葉、納豆、高野豆腐、テンペなど)。最近話題になっているグルテン食品(全粒車麩、麩、生麩、セイタン、コーフー)。穀物の胚乳から生成されるたんぱく質です。
そしてとうもろこし、高きび、そばの実などの雑穀にも良質のたんぱく質が含まれています。その他には、ピーナッツや落花生などのナッツ類、青のりやひじきといった海藻類にも植物性タンパク質は含まれています。
豆から植物性たんぱく質を抽出して加工した製品である大豆ミートは、最近、自然食品店だけでなく、普通のスーパーでも売られ始めています。大豆ミートはその使いやすさ、体への負担の低さ、肉にも劣らない美味しさから注目をあびています。
植物性たんぱく質で栄養は足りてる?
このように植物性たんぱくは、豆類や穀物、種実類を中心にいろいろな食品に含まれていて、その含有量は肉にも劣らないものも多々あります。
例えば牛肉や豚肉100gの中たんぱく質はだいたい17~18%、魚は平均20%前後です。大豆(乾燥)で35%、高野豆腐はなんと49%、雑穀には平均10%ほど含まれています。栄養学的にもお肉の代わりとして十分代用できるのです。
植物性たんぱく質を日常にとりいれてみる
とはいっても、お肉を減らしてみたいけれどお肉抜き生活には抵抗ある、という方。実は植物たんぱくの料理はバラエティーに富んでいます。そのボリューム感、食感も十分に満足できるものばかりです。
例えば、雑穀の高きびやそばの実は炊くとひき肉のような食感になります。そのままでも十分美味しいですが、ハンバーグや餃子、焼売の具としも活用できます。同じ雑穀でも、ひえは魚代わりに使えます。炊いて、衣をつけて揚げると、白身魚のフライのような食感がでます。
刻んだ高野豆腐はミンチの代わりとして、そぼろごはん、そぼろあんかけ、ミートスパゲッティーのソースなどに使えます。
車麩は下味をつけてから、衣をつけるとカツにも負けないリッチな味に仕上がります。衣には、パン粉だけでなく、アーモンドスライス、オートミール、バリバリに割ったそうめんをまぶしても美味しいです。
板麩はラザーニアにしたり、いろんなものを挟んであげたり、リンゴジュースに浸して焼くとおやつとしても活躍します。
大豆ミートは忙しい時に便利な食品です。大豆ミートにも、豚肉スライスに似たもの、手羽に似たもの、ミンチに似たもの、たくさんの種類がでているので、たくさんアレンジができますね。さらに大豆ミートは、長期間の保存がきき、戻すのも時間いらず、下味をつけて冷凍することもできます。
まとめ
植物性たんぱく質は十分に栄養的にもすぐれ、種類も肉類と同じくらい豊富です。私たちの体を作る大切な成分、たんぱく質。日ごろ肉食が多いけれど減らすのに抵抗がある方やベジタリアン料理に興味はあるけれど栄養が気になる方。まずは週に一度、動物性たんぱく質から植物性たんぱく質に変えてみるのもいいかもしれません。