マクロビオティックは肉類の摂取をできるだけ控えるため、たんぱく質が不足するのではないか、という疑問を持たれる方が多くいらっしゃいます。実際はどうなのか、今日は栄養科学的な視点からみてみましょう。
目次
たんぱく質ってなんだろう?
まず基本ですが、たんぱく質とは、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミンとならぶ5大栄養素の一つです。タンパク質は私たちの生命活動を支える大切なエネルギー源です。
たんぱく質は、約20種類のアミノ酸が数十〜数千個も集まって構成されています。食べ物に含まれているたんぱく質は体内で一度アミノ酸に分解されます。その後、必要とされるたんぱく質に再合成され、筋肉や臓器、血液、あるいは酵素やホルモンなどになり、それぞれの役割を果たしています。身体に必要な熱を生み出す素にもなっていて、体力、体温の保持、成長を促進させる役割もあります。
このようにたんぱく質は生命を支える重要な栄養素ですが、すべて体内で作っているわけではありません。9種類の必須アミノ酸は体内では作り出せないために、食品からとる必要があります。
毎日の食事にどのようなたんぱく質を取っていくか。普段は何気なく行っている食事ですが、食事で摂取するタンパク質は想像以上に私たちの健康に関わっているのです。
豆や穀物だけで足りるの?マクロビオティックの落とし穴?!
マクロビオティックの食事法でたんぱく質は足りているのでしょうか?基本的には肉魚類をあまり食べないマクロビオティック食事法です。
たんぱく質は主に、豆・豆類、穀物、ナッツ類から取ります。ではそれぞれの食品に含まれているたんぱく質を栄養学的に見てみましょう。
(いずれも100gあたりの含有量)
<植物性由来>
・乾燥大豆 33.8g
・乾燥小豆 20.3g
・乾燥レンズ豆 23.2g
・乾燥ひよこ豆 20.0g
・凍り豆腐 49.4g
・納豆 16.5g
・木綿豆腐 6.6g
・豆乳 3.6g
・玄米 6.8g
・乾燥そば 9.8g
・とうもろこし 8.3g
・オートミール 13.7g
・きび、あわ、10.5g
・麦類 12.8g
・ごま 19.8g
・かぼちゃの種26.5g
・ピーナッツバター 25.4g
・あらめ 12.4g
・わかめ 18.0g
・豆味噌 17.2g
・麦味噌 9.7g
<動物性由来>
・紅鮭(生) 22.5g
・さわら(生) 20.1g
・ぶり(生) 21.4g
・ホタテ貝(生) 13.5g
・和牛 肩ロース(生) 13.8g
・牛 ひきにく(生) 19.0g
・ぶた かたロース(生) 17.7g
・鶏もも皮付き(生) 17.3g
・牛乳 3.3g
・ヨーグルト 3.6g
・チーズ 28.9g
(日本食品標準成分表による食品成分表 女子栄養大学出版部より)
植物からも十分なタンパク質を補うことができることがお分かりでしょう。
ちなみに大人の場合に、必要なたんぱく質量はどのくらいでしょうか?活動量、体重、性別、季節などによってずいぶんと違いはありますが、厚生労働省によるたんぱく質の平均必要量は約65gです。
(運動しているかしていないかで2倍ほどの差があります。)
例えば朝食に、納豆(40g)、豆腐(80g)とわかめ(5g)の味噌汁、玄米ご飯(200g)、ゴマたっぷりのお浸しを食べたとします。
一見たんぱく質の量は少なそうですが、朝食だけでたんぱく質はだいたい20~25gはとれています。
その他、味噌やゴマといった微量ですが、他の食品からも質の高いたんぱく質はしっかりとれています。
ただここで大切なことがあります。
「摂取するたんぱく質が、すべて身体に吸収されるわけではありません。」
植物性たんぱく質はハイブリッド車
たんぱく質をしっかり食べていたとしても、消化吸収できているか否かがとても大切なのです。動物性・植物性たんぱくの消化吸収の違いを見てみましょう。
大豆や麩といった植物性たんぱく質は4g摂取すると1gのたんぱく質を吸収することができます。
一方、動物性たんぱく質では、卵6gで1gのたんぱく質、牛肉10gで1g、鮭では11gで1gのたんぱく質を吸収することができます。
さらに吸収量は、活動量、体重、性別、季節などによってずいぶんと違いはあります。
まとめ
このように動物性たんぱく質は含有量は多くても、
身体への吸収率は植物性たんぱく質よりも低い傾向があり、
消化吸収にロスが多いことが分かります。
さらに腸の状態によっても吸収量は千差万別です。