陰と陽の食材をもとにして、人間に必要なエネルギー・栄養バランスを考えて創出されたのが「マクロビオティック標準食」です。日本を含む温帯地域用です。
豆ばかり、海藻ばかり、納豆ばかりと、「体に良い」といわれている物ばかりを食べるのではなく、このバランスを意識し、過不足なく、この割合に近づけることで効果をどんどん体感することができます。たいていの病気や不調はマクロビの理論をもとにすれば治ってしまうと言われています。
また逆に、標準食ばかりに捕らわれるのではなく、その人の体質、ライフスタイル、年齢、性別、住んでいる地域によって適宜必要とする食材は変わってきます。標準食はあくまでガイドラインとして体を「調整」する物差しとして、その場その場に応じて柔軟に変えていく必要があります。
「今日はパンやうどん、ピラフといった炭水化物ばかり食べてしまった!」と罪悪感を感じる必要はありません。1週間、または1、2か月といった大きなスパンで、食事のバランスをマクロビオティック標準食表で調整してみると、体を調整しやすく、またストレスもあまりかかりません。
では、実際何を食べたらいいのでしょうか。
マクロビオティック標準食ピラミッド
人によって必要な食はそれぞれ少しずつちがいますが、マクロビオティック標準食に近づけることで本来の健康、美しさ、強さを得ることができます。
マクロビオティック標準食は三角のピラミッドのなかに3カテゴリーを設けています。
3つのグループ
1.月単位でとるもの
ピラミッドの頂点の部分です。肉類、卵、乳製品。
食べると体の負担が大きいグループなので、月に1~2回、どうしても欲しい時に摂ります。
陰陽が極端で、体内に蓄積しやすく、バランスが壊れやすいものです。
寒冷地に住む人、スポーツ選手など肉体をたくさん使う場合は必要な場合があります。
2.週単位でとるもの
ピラミッドの真ん中の部分です。魚介類、甘み(穀物、野菜、果物ベースのもの)、ナッツなど。週に数回程度、嗜好品として、または体調調整のために取り入れるグループです。
1グループに次いで陰陽が強いグループです。治療中や症状を早く治したいときは一時的に避けます。
3.毎日とるもの
ピラミッドの底の部分。一番大きいグループです。
精白しない穀物、野菜、海藻、豆・豆製品、漬物、調味料、植物油など。
人間が本来必要な食べ物グループ。陰陽が調和し(中庸)、積極的に取り入れていくグループです。
一日のバランス
では、毎日のバランスを見てみましょう。
比率としては穀物(全体の50-60%)、野菜(全体の20-30%)、
豆・豆製品(全他の5-10%)、スープ(5-10%)、
海藻(5-10%)、その他、発酵食品、茶類、調味料。
もう少し詳しく見てみましょう。
1.全粒穀物とその加工品は全体の50%前後とります。全粒を基本とし粉食(パンや麺)は補助として週に2回ほどがめやすです。
2.スープは一日に1,2杯。食物性スープ(味噌ベース、醤油ベース)を基本にとります。特に本物の発酵食品を使ったスープは吸収が良く、体質改善、生活習慣病の予防に効果が大きいです。
3.野菜は全体の20-30%前後。女性は多めに。
熱帯原産のトマトやジャガイモ、アスパラは少なく、または用いない。加熱した野菜が基本ですが、夏は生でもOK。
原則として皮もそのまま食べるので、無農薬無肥料のものか、農薬の毒消しをしっかりしたものをお勧めします。
4.豆・豆製品は食事全体の5~15%。
小豆、黒豆、ひよこ豆、レンズマメ、テンペ、納豆、高野豆腐など脂肪の少ないものを基本とし、白インゲン豆など脂肪が多いものはハレの日のお楽しみとして使う。細胞の生成、熱量となる大切な食材。消化が悪いので摂りすぎに注意。
5.海藻は食事全体の5~10%。免疫力を高め、血液を濃くする。
ビタミン・ミネラルなどの微量栄養素が豊富。わかめ、ひじき、あらめ、めかぶ、ふのり、もずく、海苔、とろろ昆布などいろいろなものを取る。砂糖や精製糖、乳製品の摂りすぎを中和してくれる。橋本病や肝硬変、前立腺がんの人は避ける。
その他に大切なものとして、発酵食品は一日に一回は必ず摂りましょう。血液を浄化し、腸内を調え様々な効果があります。
飲み物類でお勧めはカフェインがほとんど入っていない三年番茶、麦茶、玄米茶です。脂肪をとかし、老廃物を排出してくれるます。カフェインの入った紅茶、緑茶、コーヒーは避けるか、動物性を食べた時など特別な日に。
調味料は大切です。食事への影響が大きいので良質なものを選びましょう。調味料が良くないと、体調もなかなか向上しません。
まとめ
最初はこの表に近づくのは難しいかもしれません。その場合は週末だけ試す、または1週間だけやってみる、といった形で少しずつストレスをためない程度に進めていきましょう。そのうちに、体の調子、心の調子、人間関係や毎日のありかた、人生への姿勢の変化を体感できるかもしれません。